通信制の恋
人を愛すとまで断言した直に私は何が出来るだろう、と考え込んでしまった。

「結?」


「あ…、ごめん。直は"愛す"とまで言ってくれたのに、私は何が出来るのかなって…」


「そんなに見返りに何かして欲しくてやってる訳じゃないから。結はそのままの結でいて?」


「そのままの私でいいの?」


「うん。そのままの結が好き。」


「あ、ありがとう…」


真っ直ぐと見つめてくる直に私の目線は泳いだ。


「あ、あの、これ…。直に…」


直との間接キスに使ってしまった水族館で買ったイルカのキーホルダーを直に渡した。


「これ、くれるの?」


そういう直に私はコクコクと必死に頷いた。


「結が俺にプレゼントなんて、俺明日死ぬのかな。」


「し、死ぬ!?それはダメだよ!」


直が突拍子も無いことを言ったので私は必死に直にしがみついた。


「結、大胆」


「あっ、えっと、これは…。」


「もっと結から触れてきていいんだからね?」


「う…、善処します…」


「じゃ、帰ろうか」


「…うん。」



そういうと直は再び私の手を取り、ぎゅっと離さないように握りしめた。


私も離さないように握りしめ返した。




その日の夜は杏樹ちゃんと水族館での話をLINEのトークで話し、直とは電話で話した。


電話越しの直の声がダイレクトに耳に伝わるため、私は時々スピーカーにして話すようにしている。


今日も帰り道でのことを思い出して、恥ずかしくなってしまい、スピーカーで話した。


電話を切ると、私は今日の帰り道のことを思い出して、ベッドの上でジタバタと暴れてしまい、お母さんに怒られたのは言うまでもない。
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