通信制の恋
エプロンを身につけた私が向かうと、早速新人研修として先輩がつくことになった。


それはもちろん…


「俺が教える」


「よろしくお願いします。」


「そんな畏まらなくてもいいのに。」


ぺこりと頭を下げると直はクスリと笑った。



「2人ともそろそろお客さんが来る時間だからそれまでに注文の仕方とかお会計のレジ打ちの仕方とか教えてね。」


「はい。」


まきさんの言葉に直が返事をすると、私に向き直った。


「じゃあ、まずは注文の聞き取り。」



注文の聞き取りもレジ打ちもメモして何とか一通りの説明を受けた。


質問の時間にしようかと思った時、ちょうどお客さんが来た。


「「「いらっしゃいませ。」」」


「さぁ、結ちゃん、記念すべき1人目のお客さんだよ、行ってらっしゃい」


「は、はい！」


まきさんに言われて私はカチコミになりながらも先ほど直に教えてもらった通りに、注文を聞き取ることができた。


「えっと、ランチセットのBとブラックコーヒーだそうです！」


「ランチセットBのブラックね。はいよ。」


なんなく注文を聞き終えた私に直がちょこっと近付いてきて、ぽんぽんと頭を軽く撫でると、すぐに別のお客さんのところへ行ってしまった。



呆然と撫でられた頭に手を置くとぼぼぼと顔が赤くなるのを感じた。
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