通信制の恋
「杏樹ちゃんどんなのにする?」


「結!これどう!?」


水着コーナーに来てから1分。


杏樹ちゃんにどんな水着を着ようか尋ねようとした時、既に杏樹ちゃんの手には大胆なビキニラインの水着があった。


「杏樹ちゃん、セクシーだね…、私だったら、こんなの着れないよ」


「私じゃないわよ!結が着るの!」


「えっ、えぇーっ!?む、無理無理無理!!そんな大胆なの着れないよ!」


「色気で天野くんをノックアウトするんだよ!」


「そんな色気とか私無縁だし…。」


「結、たまにはチャレンジしてみよ?天野くん、喜ぶかもしれないよ?」


真剣な表情の杏樹ちゃんに私は"うっ…"と言葉に詰まった。


そりゃ、直が喜んでくれるなら…と私は決心した!


「じゃ、じゃあ、これにする!」


「おっ、結、覚悟を決めたね!?」


「代わりに杏樹ちゃんの水着は私が決めるからね!」


「えっ、結が選んでくれるの?」


「私の選んでくれたからね!」


そう言って私は辺りの水着を物色し始めた。


数分後…


「杏樹ちゃん、これどう!?可愛いし、元気いっぱいの杏樹ちゃんに似合うと思うんだけど!」


「………」


「あ、杏樹ちゃん?ごめん、気に入らなかった?」


「結…」


「は、はい!」


私は思わず名前を呼ばれてしゃきっと体をピンと伸ばした。


「それ……」


「う、うん…」


ごくりと唾を飲み込んだ。


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