通信制の恋
私が正面から直に抱き着くと、直は優しく抱き締め返してくれた。


「遅くなってごめん。怖かったでしょ。」


「う、ん…。でも、来てくれるとは思わなかった…」


「メッセージ見て急いで来たんだけど、やっぱり変な輩に絡まれちゃったね。」


「ごめんなさい…」


「結が謝ることないよ。」


「でも、あいつらの目的、杏樹ちゃんで…、はっ!杏樹ちゃんは!?」


思い出したようにキョロキョロと杏樹ちゃんを探すと私と同じように杏樹ちゃんは東雲くんに抱き締められていた。


「良かった…」


「良くないよ。結の手首を汚い手で掴んで…許さない。」


「もう大丈夫だよ…。直が来てくれたから。こうやって抱き締めてくれたから…」


私はもう一度直の存在を確かめるかのように抱き締めた。


「そんな可愛いこと今言わないでよ。キスしたくなるじゃん」


「きっ…!?」


直の言葉に顔を真っ赤にすると頭上からはクスクスと笑い声が聞こえた。


「さ、もう帰るんでしょ?家まで送るよ」


「ごめんね。バイト終わりなのに…」


「そんなこと気にしなくていーの。ほら、行くよ。」


直が私の手を引いて歩き出すと、杏樹ちゃんとすれ違った。


「またね、杏樹ちゃん。」


「うん、またね。後で連絡する。」


「うん。」


そう言って、私たちの買い物は終了した。
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