通信制の恋
例の一件があって以降、直は更に過保護になった。


バイトに行くときは必ず迎えに来るし、帰りも私が家の中に入るまで見届けてから帰るようになった。


今日はついにプールへ行く日。


じりじりと太陽が照りつける中、私の家のインターホンが押された。


ぴんぽーん


「はーい!」


トタトタと玄関まで行き、扉を開けるとラフな格好の直が立っていた。


「結、準備は出来てる?」


「うん!今荷物持ってくるね!」


「うん。」


私は荷物を取りにリビングに向かった。


今日は珍しく仕事が休みの母親がソファーにごろりと寝転がっていた。



「じゃあ、お母さん行ってくるね。」


「はいよ。行ってらっしゃい。」



荷物を持って直の待つ玄関へ向かうと、直は扉が開く閉まらないように扉にもたれながらスマホをいじっていた。


「お待たせ、直。」


「んじゃ、行こうか。」


「うん!」


差し出してきた直の手に私の手を重ねて一緒に歩き出した。



今日行くプールは電車で4駅行ったところの市民プールだった。

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