通信制の恋
その後杏樹ちゃんはハンモックに移動しゆらゆらと揺れているうちに眠ってしまったようだった。


「杏樹ちゃん寝ちゃった?」


「ああ。午前中はずっとハイテンションではしゃいでたからな。」


ハンモックに揺られる杏樹ちゃんの様子を見に行くと愛おしい目付きで杏樹ちゃんの頭を撫でる東雲くんがいた。


「結は寝なくていいの?」


「わっ…、直。私はそんなに眠くは…」


東雲くんと2人でいるのが気に食わなかったのか、直が後ろから私にもたれるように抱き着いてきた。


「嘘つき。人の視線気にして神経削ってるでしょ」


「う"っ…」


直にはすべてお見通しのようだった。


私が他人の視線を気にしてしまうことは明かしていなかったのだが、言動で分かってしまったのだろうか。


「ま、人の視線気にするなら、こんな所で眠れないよね。」


「…だから、私は眠らなくていいよ。」


「今日は早く眠りなよ?」


「うん。」


後ろから抱きしめていた直が私の手を掴んでぎゅっと握ってくれたから、私は後ろの直の方に体重を傾けた。






それから杏樹ちゃんが眠っている間、私と直は再び流れるプールでプカプカと浮かんでいた。


プカプカと浮かんでいるだけだから、周りに馴染んでいるし、人目を気にしなくていい。


私は目を瞑ってプカプカと浮き輪の中で浮いていた。

それを直が紐を持ちながら一人でに流されないようにしてくれた。


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