通信制の恋
私や直ももちろん入っていくと私は一番後ろの席に座った。


直も当然かのように私の隣に座った。


私の左隣には杏樹ちゃんが。
右隣には直。そして杏樹ちゃんの隣には東雲くんが座った。


「それでは始まりまーす」


先生の掛け声で部屋は暗くなり、座っていた椅子がリクライニングで段々と床と平行になるくらいまで倒された。



横になってみると、ドーム型の部屋に沢山の星々が映し出された。


すると、隣にいた直が私の手を握った。


「な、直?」


「しーっ、静かに。」


直の方を慌てて見ると本人はプラネタリウムに釘付けで口元に人差し指を置いて"しーっ"のポーズをした。


私も気にしないように再びプラネタリウムを見始めた。

星座の話や天体の話など興味深いものばかりだったが、やはり直と繋がれた手が気になり、プラネタリウムの内容は半分くらいしか覚えていなかった。


プラネタリウムも後半に入ると、直の手はゆっくりと私の指を絡め取るように繋いだ。


その感覚に私はもうその手にしか意識が集中した。


暗くて一番後ろのため、誰にも見られてはいないが、とっても恥ずかしかった。






プラネタリウムが終了すると、直は案外と容易くスルッと繋いでいた手を解いた。
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