通信制の恋
「うわ、結、すごい包丁さばき上手いね」


「そんなことないよ。」


「ご飯とか自分で作ってるの?」


「いや、お母さんと一緒に作ってるだけだよ。」


「それでも偉いわ…。私も見習わないとな…」


トントンとカレーに入れる野菜を包丁で切っていると杏樹ちゃんが褒め倒してきた。


お米を洗っていた杏樹ちゃんも、野菜を切るのに参加し、二人で野菜を切っていると、ふと私の腹回りに腕が回された。


「!!」


「結、いいお嫁さんになりそう」


「直!包丁持ってるから危ないよ!てか、火起こしは?」


「もう火は着いたし、火加減は太陽が見てる。」


「東雲くんに任せてないで、戻りなさい。」


「えー…」


私は危ないと思い、お腹に回された腕を解こうとした。


が、一向に解けない。


「直、離して。料理が進まない。」


「俺のことは気にしなくていいから。」


「いや、気になりすぎるから。」


「二人とも、夫婦漫才してないで、カレー作るよ!」


「杏樹ちゃん、助けて〜」


ズルズルと直を引きずって杏樹ちゃんに助けを求めると、杏樹ちゃんは私のお腹に回された腕をペシッと叩いた。


「ほら、天野くんも太陽のところへ戻って!これからカレーの鍋用意するから!」


「…ちっ、はーい」


「今、舌打ちしたよね!?」


私と直が攻防している間に杏樹ちゃんがカレーに入れる野菜を全部切ってくれたようで、既にカレー用の鍋には野菜が入っていた。
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