通信制の恋
カレーのいい匂いが立ち込めると、ぐぅと、どこからかお腹が鳴る音が聞こえた。


もちろん私ではない。とすると…


「直、お腹空いた?」


「うるさい、こっち見ないで。」


耳まで真っ赤にしてそっぽを向いている直がいました。





カレールーが解けたのを確認し、少しカレーをおたまで掬い、味見をしてみると、これが結構美味しかった。


「ん!おっけー!」


「結、俺も味見」


「少しだけだよ?」


にゅっと後ろから顔を出してきた直におたまを近付けると、彼はおたまをぺろりと小さく舐めた。


「ん、おいし。」


「それは良かった!じゃあ、杏樹ちゃんたち、呼んでくるから、直はそこで待ってて!いいね!待ってるんだよ?」


私は念を押して直を一人にさせた。




そして、私が杏樹ちゃんと東雲くんを連れてお皿を持ってくると、直は少しだけブスッとした顔をしていたが、私を見つけるとパァッと顔の周りに花が咲いたように嬉しそうな顔をした。


そのギャップに私は思わず"きゅん"としてしまった。


「お待たせ、直。ご飯にしよ?」


「ん、待ってた。」


キャンプで使うような紙の深いお皿にご飯を盛り付け、そこにカレーを流し込む。


いい匂いが広がり、鼻孔をくすぐった。



みんなで火の始末をして、燃えている部分がないかよく確認した後、テーブルに移動して4人で座った。


私の正面に杏樹ちゃん。私の左隣に直。そして私の対角線上に東雲くんが座った。


「「「「いただきます」」」」

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