きみのための星になりたい。
そして当日。目が覚めて一番に確認したのは、今日の天気だ。薄黄色のカーテンと窓を開け、太陽の光を浴びるように空を見上げる。その目線の先には真っ青な空が広がっていて、どうやら今日は晴れ模様みたいだ。
数年前に祖母に買ってもらったお気に入りの掛け時計で時刻を確認すると、針は八時過ぎを指している。よし、時間通りに起きられたみたい。
とりあえず私はお母さんに挨拶をしようと、一旦リビングに降りることにした。
「お母さん、おはよう」
「凪、起きたのね。おはよう。今日はお友達と遊びに行く日だったわよね?」
「うん。何時まで遊ぶのかとかは決めてないけど、また遅くなりそうだったら連絡するね」
まだ少し眠い目を擦りながら言うと、お母さんはやんわりと笑い、頷いた。
「そういえば、今日の朝食も作れていないの。蓮がずっと咳き込んでいて。念のために今日、県立病院の外来に行ってみるわ。本当にごめんね、凪」
眉を下げて困ったような表情を浮かべたお母さんは、蓮の額に乗せるものと思われる冷タオルを手に持ち、私から目を逸らす。その顔がとてもやつれていて、あまり眠れていないのだとすぐに理解した。
「ううん、全然いいよ。私のことは心配しないで。蓮のそばにいてあげて。お母さんもお疲れ様」
私はお母さんを労わるように、ねぎらいの言葉をかける。
そういえばここ最近、お母さんとゆっくり話す時間がなかったように感じる。だけど毎晩咳き込んでいる蓮のことが私も心配だし、仕方のないことだ。私はにいっと口角を上げお母さんを見た。
「ありがとう、凪。あなたがお姉ちゃんで助かるわ」
そう優しい笑顔を向けてくれたお母さんに小さく頷いた私は、朝食の菓子パンを持って自室へ戻り、それを急いで口にした。普段はトーストなどの朝食が準備されているのだけど、最近は蓮の調子が良くならず、あの通りお母さんは蓮に付きっ切りだ。
だから中々朝食の準備まで手が回らないみたいで、ゴールデンウィーク期間中はスーパーで購入した菓子パンが朝食代わりになっている。
「……ごちそうさまでした」
食べ終えた後はきちんとゴミ箱に袋を捨て、私はようやく出発の準備を始めた。