きみのための星になりたい。
午前中の授業が終わった、お昼時。日も高く昇り、教室へ入り込む日差しはぽかぽかと暖かい。
あかりと机を向かい合わせにくっつけ、売店で購入したからあげ丼の蓋を開ける。売店メニューのなかでは私の一番のお気に入りだ。
いただきます、と小さく口にしてから、私はしっかりと揚がっているからあげをひとつ頬張った。
「凪って、本当にここのからあげ好きだよね。いつも美味しそうに食べるから、見てるこっちまで幸せになれそうだよ」
「うん、……私、もともと唐揚げも好きだしね。今日も変わらず、すごく美味しい」
きっとほっぺが落ちそうなほど幸せそうな顔をしているであろう私を見て微笑みながら、あかりも持参した弁当箱の蓋を開け、ふわふわに仕上げられた卵焼きに口をつける。
「あ、ねぇねぇ、凪」
しばらく食べ進めていると、何かを思い出したかのようにあかりが話を持ち出した。
「なに?どうしたの?」
「あのさ、凪って、卒業後のこととか考えてる?例えば、大学受験とかしようと思ってる?」
「……ああ、卒業後の進路か」
あかりに言われ、少しだけ考えを巡らせる。
……今のところは、どこの大学へ行きたいとか、将来は何がしたいとか、そういった具体的なプランは考えられていない。けれど、進学校に入学したのだから、どこかへ進学はしなくてはいけないなと思っている。きっとここの学校の先生や親だって、それを期待している。
それに、キャンパスライフに興味がないわけではない。私だって、大学へ進学してみたいという気持ちはある。
「……そうだなあ。どこを受けるかは全く決めてないけど、大学には行きたい、かもしれない」
考えた末、簡潔にそう答えた。そしたらあかりはその言葉に飛び付くように前のめりになり、途端に目をきらきらとさせる。
そんなにも嬉しそうな顔をして、急にどうしたのだろう。不思議に思っていると、あかりはにこにこと笑ったまま口を開いた。
「私と一緒に、塾に行かない?」
「……塾?」
「そう。私も大学受験しようと思っててね。でもそのためには、やっぱり学校の授業だけじゃなくて、大学入試に向けた問題も多数扱ってる塾に通わなきゃいけないよなあって考えてたの」
「ああ、確かにね」
私は相槌を打ちながらあかりの話を聞く。
未来のことを漠然としか見据えられていなかった私に対して、しっかりとその先に向けたプランを立てられているあかり。少しだけ、自分が情けなく感じてしまう。
「そこでね、私の幼なじみが通ってる塾があるんだけど、相談したら、そこに来たらいいじゃんって」
「……幼なじみ?」
私が首を傾げたのに気付いたのか、あかりがああ、とした顔をして言葉を続けた。