きみのための星になりたい。
第8章 きみのための星になりたい
今日は目覚ましを使うことなく、カーテンから漏れる太陽光で自然に目が覚めたからか、とてもスッキリとしている。今日ほど快適に目覚められることが滅多にないからか、たったそれだけのことなのに、素敵な一日になりそうな、そんな気がした。
「……よし、動くか」
自分自身に気合を入れ、寝転んだままだった身体をベッドから起こす。朝食を食べて、洗面を済ませて、それから少しだけ冬休みの課題をして。
緊張でガチガチな心を安らげるように、わざと手を動かして色んなことをしてみるけれど。どうやら全部無駄みたいだ。
お母さんやお父さん、蓮のことが、私の中から離れてくれない。
今日の夕方、自分はどんな風にお母さんたちに思いを打ち明けているのだろうと想像すればするほど、そればかりが脳内を占領していく。
私はどうにか心の落ち着ける方法を模索するも、ピンとくるような解決法は全く浮かび上がってきてはくれない。そんな時、私の頭の中にある人の姿が思い浮かんだ。
私はその人の連絡を探し、《今、暇してない?》と短いメッセージを送る。すると、それから数分後。──ブーブーと、スマートフォンを介し部屋中に鳴り響くバイブ音。……どうやら、電話で返事がきたようだ。私は慌ててスマホを手に取ると、それを耳に当てた。
「もしもし、……あかり?」
私が連絡をとったのは、親友のあかりだった。
『もしもし?どうしたの?凪から暇してるー?なんてくるの珍しすぎたから、思わず電話かけちゃったじゃん。今、大丈夫だった?』
「うん、大丈夫だった。というか、あかりこそ」
『私も大丈夫。だからこうして電話かけてるんだし』
普段は滅多に電話なんてしない私たち。スマートフォンの向こう側から聞こえるあかりの声が少し擽ったく感じて、不思議な気持ちになる。
あかりは小さく笑いながら、『で、どうしたの?凪のことだからまた何か悩んでるんでしょう?』と冗談を含ませたような声を出す。
いや、まあ、それはそうなんだけど。……このまま正直にあかりに話そうか迷ったけれど、あかりは私の親友。誰よりも私のそばにいてくれて、私のことが大好きだと言ってくれた大切な人。そんなあかりにだからこそ、きちんと話すべきではないか。