きみのための星になりたい。



そう思った私は、回りくどい話はせず、ストレートに今の気持ちを話すことにする。

「あのね、あかりに聞いて欲しいことがあって」
『……私に?』
「うん」

そのあと生まれた沈黙。あかりは私が話し始めるのをじいっと待ってくれている。やっぱりまだ自分の気持ちや言葉を話すのは緊張するなあと思い、生唾を飲み込み小さく深呼吸をした。

「私ね、あかりに前、話したでしょ?自分の意見や思い、本音を打ち明けるのが苦手になったのは、小学生の頃に自分の正しいと思った意見を言ったことで、軽い悪口を叩かれるようになったのが原因だって」
『うん、ちゃんと覚えてるよ』
「でもね、本当は、それだけじゃなかったんだ」
『……それは、どういうこと?他にも何か、要因があったってこと?』

あかりの疑問に、私は『うん』と小さく言葉を落とした。その後もあかりに自分の思いを伝えるべく、重い口を開く。

そして話したのは、昨夜に気付いた出来事。きっかけは友達だと思っていたけれど、それは違っていて、お母さんや蓮を含め、家族のことも関係していたこと。当時の悩みを思い切って相談しようとしたら、蓮のことを優先され、結局話は聞いてもらえなかったこと。お母さんの頼みを受け入れたらとても嬉しそうな顔をされ、自分が何かを我慢して押さえ込めれば、自分が傷付くような言葉を投げかけられるようなこともないのだと感じたこと。

それら全てを話し終えた後、沈黙を守っていたあかりが、慎重に言葉を放つ。

『凪は、確かに友達に悪口を叩かれたことで自分を塞ぎ込みがちになっていたけど。そこに、さっきの出来事が重なって、それが積み重なるうちに自分の気持ちを表に出すのができなくなっていった、ってこと……?』
「うん、あかりの言う通り。そういうことかな」

あかりの台詞を聞いて、ああ、上手く伝わってのだと安堵感が生まれる。でも私が伝えたかったのは、これだけではない。昨夜の決意。それを、あかりにも聞いてもらわねば。

「私ね、思ったんだ。柊斗と出会って、悠真くんと出会って、あかりと初めての喧嘩をして。ぶつかり合う中で、自分ともっと近付きたいって思ってくれる人もいるんだって知った。だから私も少しずつ前に進まなきゃって頑張って、今では自分の気持ちを発することが少しだけできるようになってきたけど」
『……うん』
「昨日、私の心の奥底で眠っていたあの日のことを思い出して。そしたら、急にお母さんやお父さんが蓮のことばかりを見ているんじゃないのかって気がしてきて、寂しくって。このままじゃ、いつか私が壊れてしまうと思った。そしてそれと同時に、これを乗り越えたらもっと自分を変えられるんじゃないのかなあ、って。だから私はお母さんやお父さん、家族と向き合いたい。……それが、今日の夕方、なんだけど」

勇気を出して告げた私の言葉に、あかりは『そっか』と優しい声色で応える。


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