MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
美優が謝ると,彼は「いいんだよ,気にしないで」と寛容に応えてくれた。
「仕事の帰りに,直接来たの?確か,ファミレスで働いてるんだよね?」
「ああ,ハイ。ホール係です。娘が生まれてからずっと働いてるので,もう三年になります」
この話は,メッセージを交換している頃にもしていた。
美優はそこまで話して,彼の向かい側の席に座らせてもらう。
「……そういえば,自己紹介がまだでしたよね。改めまして,あたしの名前は佐々原美優っていいます。ほんとに二十歳です」
「僕は,浜田裕一です。こう見えて,二十七歳になります。よろしく」
お互いの自己紹介が終わったところで,美優は彼に疑問をぶつけた。
「裕一さんって,職業が"クリエイター"になってましたけど。具体的には何を?」
裕一は答える代わりに,ニッコリ笑ってさっきまで自身が読んでいた文庫本の背表紙を美優に示す。
「あれ?『浜田裕一』って,この小説……。もしかして」
「ハイ。僕の職業は,恋愛小説家です」
「小説家なんですか……,あ」
そこまで聞いてようやく思い出した。彼の顔を見たのは,両親の寝室の本棚に並んでいる文庫本の裏表紙の写真でだと。
母の奈那子が,作家浜田裕一の大ファンだったのだ。
「仕事の帰りに,直接来たの?確か,ファミレスで働いてるんだよね?」
「ああ,ハイ。ホール係です。娘が生まれてからずっと働いてるので,もう三年になります」
この話は,メッセージを交換している頃にもしていた。
美優はそこまで話して,彼の向かい側の席に座らせてもらう。
「……そういえば,自己紹介がまだでしたよね。改めまして,あたしの名前は佐々原美優っていいます。ほんとに二十歳です」
「僕は,浜田裕一です。こう見えて,二十七歳になります。よろしく」
お互いの自己紹介が終わったところで,美優は彼に疑問をぶつけた。
「裕一さんって,職業が"クリエイター"になってましたけど。具体的には何を?」
裕一は答える代わりに,ニッコリ笑ってさっきまで自身が読んでいた文庫本の背表紙を美優に示す。
「あれ?『浜田裕一』って,この小説……。もしかして」
「ハイ。僕の職業は,恋愛小説家です」
「小説家なんですか……,あ」
そこまで聞いてようやく思い出した。彼の顔を見たのは,両親の寝室の本棚に並んでいる文庫本の裏表紙の写真でだと。
母の奈那子が,作家浜田裕一の大ファンだったのだ。