MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
「ふざけんなよ!ナニ勝手なことばっか言ってんの?誰のせいで,あたしがこんなことになったと思ってんのよ⁉」
元はといえば,()()(おこた)った健のせい。確信犯だったら,余計に許せない!
とはいえ,この一件で,この男の本性(ほんしょう)が見えた気がした。コイツは,自分がやらかしたことの責任も取れないチャランポランだと。
だから,美優は自分がこんなヤツのために腹を立てていることが,だんだんアホらしくなってきた。
彼女は大きくため息をつき,このバカ男にキッパリ言い放った。
「――あたし,今日限りでアンタと別れる。この子はあたし一人で産んで育てるから。出産費用も認知もいらない。その代わり,この子が大きくなっても,父親(ヅラ)して会いに来ないで」
生まれてくる子供だって,こんな父親ならいない方がいいだろう。彼は,この子を見捨てたのだから。まだ生まれてきてもいない我が子を。
「ちょ……,別れる……って,おま……」
アタフタする健を尻目に,バナナオレを飲み干した美優は,自分の分の食器を手にして席を立った。捨てゼリフを吐いて。
「さよなら,バカ男」
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