MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
この人のことをもっと知りたい。そのためには,どうしたらいいだろう?……美優は考えを巡らせた。
「せっかく裕一さんが作家さんだって分かったことだし,あたしもあなたの本読んでみようかな。普段あんまり小説なんて読まないんですけど」
こんなに思いやりがあって優しい彼のことだ。彼が書いた小説だってきっといい話のはず。だって,母親がハマるくらいなのだから。
「ありがとう,美優,って呼んでいい?じゃあコレ,貸そうか?」
裕一が,さっきまで自分が読んでいた自著を差し出したが,美優はそれを断った。
「いえっ!自分で買って読みますからっ!」
美優はまたも,彼の厚意を丁重に断った。
「そう?」
「はいっ!あたしも裕一さんの本の売り上げに貢献したいし。母も持ってるので」
「そっか。じゃあ,読んだら感想聞かせてもらっていいかな?――あっ,連絡先交換しよっか」
「はい」
二人はお互いの連絡先を,赤外線で交換した。これからはあのアプリを通さなくても,退会しても,いつでも連絡が取り合えるようになる。
「――それで,美優。この後の予定だけど」
「はい」
二人が「会う」という当初の目的は,これで果たせたわけだけれど。これだけでハイさようならじゃ淋しすぎる。まだ時間も早いし,もっと彼と一緒にいたい。
「今日は春奈ちゃんの誕生日だって言ってたよね。じゃあ,プレゼントでも見にいく?」
「せっかく裕一さんが作家さんだって分かったことだし,あたしもあなたの本読んでみようかな。普段あんまり小説なんて読まないんですけど」
こんなに思いやりがあって優しい彼のことだ。彼が書いた小説だってきっといい話のはず。だって,母親がハマるくらいなのだから。
「ありがとう,美優,って呼んでいい?じゃあコレ,貸そうか?」
裕一が,さっきまで自分が読んでいた自著を差し出したが,美優はそれを断った。
「いえっ!自分で買って読みますからっ!」
美優はまたも,彼の厚意を丁重に断った。
「そう?」
「はいっ!あたしも裕一さんの本の売り上げに貢献したいし。母も持ってるので」
「そっか。じゃあ,読んだら感想聞かせてもらっていいかな?――あっ,連絡先交換しよっか」
「はい」
二人はお互いの連絡先を,赤外線で交換した。これからはあのアプリを通さなくても,退会しても,いつでも連絡が取り合えるようになる。
「――それで,美優。この後の予定だけど」
「はい」
二人が「会う」という当初の目的は,これで果たせたわけだけれど。これだけでハイさようならじゃ淋しすぎる。まだ時間も早いし,もっと彼と一緒にいたい。
「今日は春奈ちゃんの誕生日だって言ってたよね。じゃあ,プレゼントでも見にいく?」