MIYU~シングルマザー二十歳,もう一度恋します~
それに,メイクもいつもより派手だ。ファンデーションとリップだけでなく,アイメイクまでしたのも,リップの色を濃いめのピンクにしたのも,多分ギャルの頃以来だろう。
(どうせ落とすことになるんだから,ここまで気合い入れる必要なかったかな……)
これは,彼女なりの「武装」なのだ。自分の気持ちを奮い立たせるための。
裕一に少しでも,自分を魅力的な女性に見せたいから。大人の関係にふさわしい,ちゃんとした大人の女性に。
ただでさえ小柄で童顔で,ヘタをすれば女子高生に見られかねないのだ。これくらい化けたって,バチは当たらないだろう。
「ふー……っ,よしっ!そろそろ行こう」
美優は両手で自分の頬をパンッと叩き,いつもより大きめのバッグを肩から提げて寝室を出た。じきに,彼が車で迎えに来る。
「――お母さん,あたしそろそろ行ってくるね。春奈のこと,よろしく頼んだよ」
「はいはい。お父さんと二人で,ちゃんとお世話するから。浜田先生によろしくね」
「……分かった,伝えとく」
美優は呆れた。娘の恋人に,何をよろしくするんだか。
「春奈。ママ,裕一パパのところにお泊りしてくるから。じいじとばあばのいうことちゃーんと聞いて,いい子にしてるんだよ」
(どうせ落とすことになるんだから,ここまで気合い入れる必要なかったかな……)
これは,彼女なりの「武装」なのだ。自分の気持ちを奮い立たせるための。
裕一に少しでも,自分を魅力的な女性に見せたいから。大人の関係にふさわしい,ちゃんとした大人の女性に。
ただでさえ小柄で童顔で,ヘタをすれば女子高生に見られかねないのだ。これくらい化けたって,バチは当たらないだろう。
「ふー……っ,よしっ!そろそろ行こう」
美優は両手で自分の頬をパンッと叩き,いつもより大きめのバッグを肩から提げて寝室を出た。じきに,彼が車で迎えに来る。
「――お母さん,あたしそろそろ行ってくるね。春奈のこと,よろしく頼んだよ」
「はいはい。お父さんと二人で,ちゃんとお世話するから。浜田先生によろしくね」
「……分かった,伝えとく」
美優は呆れた。娘の恋人に,何をよろしくするんだか。
「春奈。ママ,裕一パパのところにお泊りしてくるから。じいじとばあばのいうことちゃーんと聞いて,いい子にしてるんだよ」