過ぎた時間は違っても
後ろから伸びてきた腕が反対側の肩を包み、押し潰されない程度の体重が乗る。自分の手の上に顔を乗せているのか、耳に髪が当たってむず痒かった。この匂いは羽季だな。そもそも、今の高校に勝手に私を抱き締めてくる人なんて羽季くらいしかいないか。
「離れて」
「えー」
離れてと睨んでも文句を言うだけで済むのは羽季くらいだと思う。明穂でさえ怯えてしまう時がある。直そうと思っているけれど、咄嗟に出てしまうからどう直せば良いんだろうと悩んでしまう。いつも気を張っていたら普段の表情が怖くなってしまうだろうし、かと言って無理に笑顔でいるのも気持ち悪いだろうしな。
明穂を怖がらせないようにするのが先か、羽季を折れさせる方が先か。明穂を怖がらせない方が骨は折れないんだろうけど、羽季を折れさせないと不意に睨んじゃうからな。
「離れて」
「えー」
離れてと睨んでも文句を言うだけで済むのは羽季くらいだと思う。明穂でさえ怯えてしまう時がある。直そうと思っているけれど、咄嗟に出てしまうからどう直せば良いんだろうと悩んでしまう。いつも気を張っていたら普段の表情が怖くなってしまうだろうし、かと言って無理に笑顔でいるのも気持ち悪いだろうしな。
明穂を怖がらせないようにするのが先か、羽季を折れさせる方が先か。明穂を怖がらせない方が骨は折れないんだろうけど、羽季を折れさせないと不意に睨んじゃうからな。