過ぎた時間は違っても
その日、俺はそのまま早退する事になった。何にも悲しくないはずなのに、痛みがある訳でもないのに涙が止まらなかったんだ。家に帰ってからは夕飯も食べずに自室にこもっていた。
部活仲間からは連絡が耐えなかったけれど、電話も出る気にならなかった。とうとう失恋したかなんて連絡も来ていたけれど、失恋ならどんなに良かったかと思う。だって意味わからないまま泣いているんだぞ。その事実に混乱して不安にもなるだろう。部活の大会が迫っているこんな時期に何だって言うんだよ。

「羽季ー、入るぞー」

「慶太郎おじさん?仕事じゃなかったの?」

「今日はやっすみー。学校、上手く行ってないのかってお前の父さんが心配してたぞ?」
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