過ぎた時間は違っても

約束ですよ

どうしたんだろう。死後の世界で出会った男の人の姿をした神様はそわそわしたり、眉間にシワを寄せたりと感情が忙しかった。何か悩み事でもあるのかな。そう思いながら、私は病気になってから出来ていなかった運動を思い付く限りやって楽しんでいた。

「なぁ、唯織。生き返りたいと思わないのか?俺といても暇だろう?」

「家族を見るとたまに思います。でも、神様のおそばも楽しいので我が儘を言うほど強くは願っておりません」

バスケの輪にボールを投げ入れ、質問に返答すると神様はまた黙ってしまった。生き返りたいと言っても、生きていた世界では私が亡くなってから数十年経っている。今さら生き返ってもあと少しで年金がもらえるような歳になっているし、それくらいを苦労して生きるために生き返るのもと思っていた。
< 111 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop