過ぎた時間は違っても
私は同じ時間を過ごしたせいなのか、神様とは所謂友達の関係になっていた。頬に触れたり抱き締められたりするのはあるけれど、私を励まそうとする時くらいでごくたまに。恋愛感情を持つほどの関係ではまだない。

「・・・二十歳までで良い。お前の高校にいた来栖という男の家に生まれてきてくれないか」

「・・・前に悩んでいた戦争の話ですか?」

質問に質問で返した私に頷いた神様は酷く辛そうだった。話したくないのなら、理由は話さなくても良いと思ったけれどそれは神様の心が許さないらしく、ぽつりぽつりと理由を話し始めた。
私の存在が無くなって、両親に生まれた二人の子供のように生まれる予定のなかった命が生まれたり、その逆で生まれるはずだった命がそもそも芽を出していなかったり。
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