過ぎた時間は違っても

前に聞いた事があった。自分たち神と呼ばれる者は最悪な方向に進まないよう歴史に手を加える事が多々ある。でも、ゲームを何度も繰り返し行うように生き物の記憶を書き換えたり、上書きしたりするだけで星の状況まで変える事は出来ない。だから、たまに元の記憶を取り戻す生き物がいるらしい。その者は神が呼ばなくてもこの空間に来て、生まれ変わらせないと居座り続けるのだとか。その間に神が亡くなればその人が神になってしまうらしい。

「不安ですか？」

神様は俯きながら頭を一度上下に振った。このままだと私が羽季に取られてしまうと心配している訳か。確かに余命宣告を受けてから羽季に恋愛感情を持ち掛けていたけれど、それはもうすぐ亡くなってしまうと冷静な判断を出来ていなかったから。そうじゃないとずっと一緒に暮らしていたのに恋に発展しなかった理由が分からない。