過ぎた時間は違っても
彼女の言う通り、翔琉と呼ばれた男子生徒の体には少し力が入りすぎていた。それに比べて彼女は型に嵌まらなすぎてどう動くのか予想が付かない。相手を騙すために右に行く素振りを見せたのかと思っても、実際は右に行こうとしていたけれど止められたから急遽左に変えたという感じだった。

「なぁ、何で部活に入らないんだ?唯織の実力があれば世界も狙えるだろう?」

「誰かと一緒に何かを成し遂げるって苦手だから。バスケも一対一なら大丈夫だけど周りがいるとね。授業みてないから分からないんだよ」

彼女が部活に入らないのは人付き合いが苦手だからだった。一対一なら相手の行動を見て、次の行動を自由に変えられる。でも、仲間がいると相手以外にも味方の動きも把握しなければいけない。
< 138 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop