過ぎた時間は違っても
意見が纏まらないまま、昼休みを終える鐘が鳴った。目を合わせる事なくため息を吐いて立ち上がった唯織は俺の頭を痛くない程度に軽く叩くと応援してくれた。俺が別れられる事を応援している訳じゃない。恋人として今も過ごしているあの子に申し訳無いから早く別れろと言いたいんだ。

「どうした?ため息なんか吐いて」

「唯織が恋人と別れろって言うんです」

午後の授業も終わって部活が始まる前に体を伸ばしている時だった。部活の副部長が話し掛けてきてくれたんだ。部活内では一番仲の良い先輩だった。でも、ため息の理由を話したら体育館にいる生徒全員が動きを止めた。まるで睨まれて石にでもなったかのように一斉に止まったものだから少し笑えてしまったのは黙っておこう。
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