過ぎた時間は違っても
どんな話をしながら隣町に行こうかな。隣町に行った所で瓦礫が無くなって、森と海しか無いって聞いたけど楽しんでくれるかな。風景を撮るのが好きみたいだし大丈夫なんて無責任な事、思っちゃダメだよな。

「ごめんね、お待たせ」

「ううん、行こっか」

唯織と合流し、母の生まれ故郷へと自転車を走らせた。唯織の服装はいつも通り、飾り気の無い運動着と運動靴。これしかないというよりは、これが良いんだと思って着ているようだった。
天気は晴れ、気温も暑くもなく寒くもない。でも、唯織はすこしだけ寒いのか服から指先しか出していなかった。他の女子がしているみたいに男受けを狙っている訳では無いだろうし、少し止まって雨具になる上着を貸してあげようか。いや、良い迷惑だったらどうしよう。
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