過ぎた時間は違っても
「末端冷え性なの。寒い訳じゃないから気にしなくて良いよ」

「顔に出てた?」

「ううん。声に出てた」

どうするか考えていると、唯織から話し掛けてきてくれた。寒い訳じゃないなら良いんだけど、声に出ていたなんて。恥ずかしい。でも、今さら取り消せるような問題じゃないし。
参ったと笑うしか出来なかった。一緒に笑ってくれただけまだ良いけど、本当に付いてないな、俺。
どうして格好良い所を見せようと思うと失敗するんだろう。例え成功しても見せたかった本人が見ていないんだよな。それで周りに勘違いされ、俺はこれだけ人気になってしまった。好きで人気者になった訳じゃない。気持ちが空回りしているだけ。
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