過ぎた時間は違っても
「唯織はさー、何で写真家になりたいんだ?」

「中学の修学旅行でね、私を助けてくれた人が写真を仕事にしている人だったの」

唯織が言うには友達のいない、普通じゃない自分を嫌っていた中学でその人と出会ったらしい。その人は写真屋として修学旅行に着ていたそうだ。友達のいない自分と出来る限り一緒に歩いてくれて、普通に会話できて楽しかったと。
中学の卒業式でもその人は集合写真や卒業アルバムを作って持ってきてくれたらしくて、その時に言われたそうだ。“人に合わせたり、揉め事から避けたりしても良い。ただ、一つだけで良いから好きな物は貫くんだよ”と。
バスケをそこまでしたがらなかったのは貫き通したい一つ、写真を撮る趣味があったからだったんだ。夢にまで見ている趣味があったからだったんだ。
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