過ぎた時間は違っても

俺は唯織が幸せに生きられるなら何でも良かったから。俺の父はこの高校の理事長のご厚意で秘書をさせて頂いている。家も理事長の家に住まわせて頂いている。でも唯織の父親が理事長の息子で唯織の母親が俺の父と従兄弟だから。姉弟であると勘違いするくらい仲が良いからなんだ。唯織の母親がいなければ俺の父は職がなかったと思う。
ただ、問題は家族構成じゃない。唯織の主治医で唯織の父親の兄弟である叔父と唯織の父親が話していた内容だ。何となく気になる程度ではあるけれど、唯織の心臓の動きが弱いらしい。緊急に何かしなければとか、激しい運動は避けてとか言う訳じゃないけどたまに気にしてほしいらしい。その話を聞いたからなのか、唯織の両親から俺と父にたまに気にかけてやってほしいと同じ事を言われた。
唯織の両親に言われたから一緒にいたいと思う訳じゃない。特に問題ないくらいの変化だとも言っていたから。でも、気のせいじゃなかったら？