過ぎた時間は違っても
笑っては見せたけれど、羽季の表情は晴れない。仕方無いか、私も翔琉に協力してもらえるまで気落ちしていたから。隣町から出て自転車に乗り、帰路に着いても羽季は無理に表情を作っていた。

「待って!羽季、こっち!付いてきて!」

「ん?おう」

町に戻ったらさよならなんて危ないと思ったんだ。まだ昼間だったし、帰り道で予定はないと話していたから時間はあると思って。そのまま両親のいる反対側に有る隣町に自転車を走らせた。
いつも個人練習に使っていた小さな公園へ行こうと思ったんだ。ここら辺ではあの公園しかバスケのリングやコートが無かったから。ボールは無かったけど、コートの中で向き合うだけでも何か変われるような気がしていた。
公園に着いて向き合うと、思っていた通り喋らなくても色んな事が分かった。
< 177 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop