過ぎた時間は違っても
部長が唯織に惚れていた事も驚いたけれど、翔琉先輩まで惚れていたなんて。要するに、俺たち三人は叶わない恋を忘れられない女々しい奴らという事か。

「実は俺も。友達以上に上がれなくて困ってるんですよねー」

「お前も大変だな」

翔琉先輩に頭を撫でられた俺の心は複雑だった。愛がこもっているから嬉しいような、叶わないと言われているようで悲しいような。俺たちはこの心のもやもやを部活で発散していた。体を動かしていると、何とかなる、このまま叶わなくても大丈夫と思えてくるから。
部活も終わって帰ろうと門をくぐると、明穂さんと唯織が袋を抱えながら待ってくれていた。美幸さんと歩幸さんが喧嘩したから買い出しに来たらしいんだけど、二人で帰る度胸がなかったらしい。
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