過ぎた時間は違っても
十一章・越えられた未来
何でそうやって
唯織が拐われたらしい。何でも、前に腹を刺した男が警察から脱け出してきたそうだ。その男に人質として連れ拐われたと、病院にいる翔琉先輩は言っていた。翔琉先輩は男に後ろから殴られて気を失い、丁度通りかかった美幸さんが救急車を呼んでくれたそうだ。
「犯人は何て言っているの」
「二人の交際を認めれば何も要らないって」
「そう。なら認めると言っていたと伝えて頂戴。・・・全く、こんなくだらない事で呼ばないでよね」
翔琉先輩の両親はまたかと呆れたように文句を言うと、病室から出ていった。まるで、唯織の命なんてどうでも良いと言っているような口振りに腹が立ったけれど殴りかかる事も出来なかった。
「犯人は何て言っているの」
「二人の交際を認めれば何も要らないって」
「そう。なら認めると言っていたと伝えて頂戴。・・・全く、こんなくだらない事で呼ばないでよね」
翔琉先輩の両親はまたかと呆れたように文句を言うと、病室から出ていった。まるで、唯織の命なんてどうでも良いと言っているような口振りに腹が立ったけれど殴りかかる事も出来なかった。