過ぎた時間は違っても
帰ってこなければ、唯織さえいなければ自分の恋は叶うかもしれないのにって思ってしまったらしい。だとすると、今泣いているのは叶わない恋だと悟ったからじゃない。酷い事を考えてしまった自分が許せなくて消えてしまいたいと思ったからなのだろう。

「いなくなれと思った事はないけど、俺も好きな人を力で支配したいと思った事はあるよ」

「唯織ちゃんを・・・?」

「うん。ほら、唯織って不器用なくせにいつも誰とでも真っ直ぐ向き合おうとするでしょ?だから俺だけを見てほしくて逆らえないように脅したくなった事はあるよ」

隣に椅子を用意して座ると、美幸さんの涙は徐々に少なくなっていった。
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