過ぎた時間は違っても
唯織を好きな事がバレていたのは意外だったし、少し盛ったけれど真実だった。暴力で脅そうとかそういうんじゃなくて、力の差を見せたら俺だけについていきたいとならないかなって。ただの友達から一人の男として脱退出来ないかなって思った事はある。でも、力の差を見せた所で考えを変えるような人じゃないから付きまとわれても屈しないんだと力で物を言うのは諦めた。

「唯織ちゃん、言ってたよ。悲しみを希望に変えられる人が好みの性格だって。ゴキブリを素手で捕まえて外に逃がせるくらい強いから他はあまり望まないみたい」

「素手かー、逞しいなー」

あれ、そう言えば自分の病気のせいで両親が悲しんでいたと言っていなかったっけ。だから、無力な自分を教えられて悲しまれるのが怖くなったって言っていなかったっけ。
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