過ぎた時間は違っても
羽季は唯一日陰になっている所に案内してくれた。こんな快適な場所があったなんてと感心してしまった。

「こんな所あったんだ・・・」

「うちの叔母夫婦が密会場所によく使っていたんだってー。俺も昼寝したい時はここに来てるんだー」

驚く私に知った経緯を説明してくれた羽季は寝っ転がって空を眺めていた。逃げ回る事に疲れていたし、気持ち良さそうだったので隣に横になると羽季はこちらに向き直して来た。そのまま空を眺めていたら良いのにと思いながら仰向けで横になっていると四つん這いになって上に覆い被さってきた。
折角綺麗な空を眺めていたのにと思っていると震える手で私の頭を撫でてきた。しかも涙まで流している。理由は分からないけど、前に話していた違和感が関係しているのかなと思って何も訊かなかった。
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