過ぎた時間は違っても

やっと

俺たちは記憶が戻ってすぐ、翔琉先輩を屋上へ呼んだ。この俺たちだけが違う世界で味方になってくれるのは翔琉先輩だけだったから。でも、翔琉先輩は俺たちの説明を聞くと考えさせてほしいと言った。

「二人の今までの発言から考えてあり得ない話じゃないのは分かる・・・。でも・・・、少し待ってくれ。唯織は俺の・・・、たった一人の大切な妹なんだ。血縁関係だってちゃんとある。・・・すぐには飲み込めない」

「すみません・・・、そうですよね・・・」

翔琉先輩なら分かってくれると勝手に思い込んでいた。でも、今の状況で頭のおかしい事を言っているのは俺たちの方。だって血縁関係が証明されているのに、唯織と翔琉先輩が兄弟じゃないって言っているんだから。
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