過ぎた時間は違っても
間接的であっても、俺の口が付いた飲み物に唯織の口が重ねられるなんて。驚きと混乱だけではない何かが俺の心臓を壊れるくらい叩いていた。もう良い、収まってくれと思っても一向に静かになる気配がない。
違和感の正体が分かったからなのか、俺の唯織への気持ちは前より強い物になっていた。倍、それ以上と言っても大袈裟ではないくらいに唯織を愛してしまっていたんだ。

「その後、翔琉先輩とはどう?」

「兄弟だった記憶があるから思ったよりギクシャクはしてないかな」

ご飯を食べながら、思い出した後の生活を訊いてみると案外変わっていないみたいだ。たまに別の世界にいた時の記憶が表に出過ぎて何で翔琉先輩と一緒にいるのかと驚く時はあるらしいけれど、別の記憶のせいで困っている事は他にないらしい。
< 236 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop