過ぎた時間は違っても
明穂の兄は私に明穂への関心がないんじゃないかと疑うような目をしていた。別に誰に疑われても構わない。真実であれば信じてくれる人がいるって言うし、疑いはその内晴れるって聞くから。まぁ、自分が晴れるよう行動すればの話なんだろうけど今は明穂が疑っている訳じゃないから良いかなって思うんだ。

「落ち着いてくださいよ、部長。無理に聞き出したくないって言ってるだけじゃないですか。妹を愛しすぎですよ」

「お前は兄弟がいないから分からないんだよ!」

羽季が部長と呼んだ明穂の兄の頬を叩いてしまった。羽季の母親が生きてくれていれば、きっと羽季にも兄弟が出来ていたはず。弟か妹か、もしかしたら弟も妹も生まれていたかもしれない。
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