過ぎた時間は違っても
思い返した時、私の胸は確かに高鳴っていた。何度思い出しても好意を抱いてまた会いたいと願っていた。でも、拐われた時の記憶だったら困る思って思い返さないようにしていたんだよね。自分を誘拐した犯人に恋したなんて、とてもじゃないけど言ってはいけないような気がしたから。

「生まれ変わりはお前の再従兄弟が亡くなってからの方が良いだろう。自分を知っている者がその時代にいると今回みたいな事になりかねん」

「えーっと、ありがうございます」

「気にするな。唯織の友人のためなら容易い話だ」

神様は羽李にゆっくりしていくと良いと言った理由を説明してくれた。羽李も納得してくれたみたいだけど、少しだけ表情が歪んだ。
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