過ぎた時間は違っても
人と話している最中に羽李が表情を歪めるなんて珍しい。そんな日々が続いて羽李も神様と仲良くなった頃、生まれ変わっても記憶に影響がない時期に入った。

「本当に行くの?折角仲良くなったのに」

「別にまだいても構わん。好きにすれば良い」

「いや、良いんです。お願いします」

羽李は生まれ変わる事を選んだ。生きていたいと願った。私の額に口付けをして頑張れと一言告げた後、細かい光に覆われながら消えていった。神様が指を鳴らして見せてくれた風景には赤子が生まれて喜んでいる夫婦と助産婦。羽李はまた新しい、別の誰かとして生きていくんだ。
嬉しくもあるけどもう何も覚えていないんだと知って悲しむ私をそっと抱き締めた神様の腕の中はとっても安心できた。
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