過ぎた時間は違っても
きっと部長はきらきらしている人が周りに居すぎて気付かれていないだけなんだ。本当はもっとモテていても、恋人がいてもおかしくないくらい優しくて格好良い人なんだ。

「羽季、ちょっと良い?」

「唯織。ちゃんと話せた?」

部屋の戸を叩かれたかと思うと返事をする前に唯織が開けた隙間から顔を出していた。唯織の事を何も知らない人からしたら無表情のまま覗いているだけにしか見えないんだと思う。でも、表情は確かに変わっていた。友達とちゃんと話す事が出来たのか、俺と部長が部屋を出た時よりもすっきりした表情をしている。それに部長が俺の部屋にいる事を忘れていたのか、一瞬だけだけど微かに目を見開いていた。いつも通り戸を開けたら見慣れない人がいて驚いたんだ。
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