過ぎた時間は違っても
あ、そっか。私の名前は言っていたから彼の名前も聞いたと誤認していたんだ。たまにやるんだよね、自分の名前だけ言って本題に入るの。
明穂が委員会でそばにいれず、羽季の部活が終わるまで一人で待っていた時に彼と出会った。図書室で一番上の本を取ろうとしていた時、後ろから腕が伸びてきて取ろうとしていた本に触れた。

「これか?」

「それです。ありがとうございます」

引き抜いて渡してくれた時、転入生である事を知った。制服が違ったっていうのもそうだけれど、高校生になってからバスケ部の他校との練習試合で見た顔だったから。一匹狼のような生徒だったからよく覚えてる。同じチームなのに彼にボールが回ってくる事がなくて、自分で拾ったボール以外に点を入れる方法がない。
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