過ぎた時間は違っても
まるでチームが三組あるみたいな練習試合だった。背番号で覚えているから名前までは分からなくて。でも、本を取ってもらった時に分かった事が一つだけあった。前髪の下にある、彼の目が人を遠ざけているんだと思ったんだ。だって彼の目は目が合っただけで恐怖を感じてしまうほど冷たく、何かに飢えていたから。
「全体的に明るい子が図書室にいるからその子に校内を案内してもらえって言われたんだけど知らない?」
「あー、たぶん私です。一年の伊野と言います」
そうだ、思い出した。祖母が私を全体的に明るい子って表現したせいで混乱させたんだ。その時に私だけ学年と名前を名乗ってそのまま案内したんだ。だから彼の名前は分からなかったんだ。
「全体的に明るい子が図書室にいるからその子に校内を案内してもらえって言われたんだけど知らない?」
「あー、たぶん私です。一年の伊野と言います」
そうだ、思い出した。祖母が私を全体的に明るい子って表現したせいで混乱させたんだ。その時に私だけ学年と名前を名乗ってそのまま案内したんだ。だから彼の名前は分からなかったんだ。