過ぎた時間は違っても
どうしたんだろう。私より羽季の方が険しい表情をしている気がする。腹痛かな。人数の多い集まりになるとたまに胃が痛むって言っていたから今も痛いのかも。少し気を付けて見守ろう。

「伊野さん・・・、もしかして来栖先輩に一目惚れしたんじゃ・・・?」

「クスッ、あははっ!私が恋なんてあり得ませんよ!」

「でも、皆いつもと様子が違うって・・・」

羽季の恋人の一言に私は吹き出してしまった。私が恋なんて、あり得ない。誰もが羨み、恋人になりたがる羽季がそばにいるのにときめきもしない私が恋なんて。
きっと恋心なんて持ち合わせていないんだ。人を普通以上に愛せないんだよ。だってそうじゃないと合わないじゃない。羽季を恋愛対象として好きにならない理由が見当たらない。
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