過ぎた時間は違っても
本格的に動けなくなる前に唯織も動いて起きたいのかな。唯織の担当医で唯織の叔父でもある慶太郎おじさんも辛いだろうから一本取れるかどうかだって言ってたし。危ないと思ったらすぐに止めなさいと念を押されたし。

「あのー、ごめんー。本当に大丈夫なのか?」

「今日が最後だったら困るから。・・・手加減しないでね?」

滑りやすい上靴と靴下を脱いで本気になった唯織と軽く手を叩き合ってゲームを始めた。先にリングへボールを入れた方の勝ち。たぶん、本気の試合は前半だけでも出来ないだろうから一本で終わらせておかないと唯織の体が危ない。
ボールを持った俺と身構える唯織。深く被った帽子からちらりと見えた目は本気で、真剣そのものだった。俺も唯織の気持ちに答えようと真剣に、本気で点を取りに行こうとした。
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