過ぎた時間は違っても
心のどこかでは私も死ぬのが怖いのかもしれない。死んでも問題ないと思っていたけれど、本当はもっと生きていたいと願っているのかもしれない。もう治らないからと諦めたフリをしているだけで、自分の知らない所ではまだ諦めていないのかもしれない。
羽季の顔をまともに見られなくて背を向けるように起き上がってしまったのが何よりの証拠。本当に諦められていたのなら、ちゃんと目を見て最後だから楽しくいたいんだと言えたはず。我が儘を聞いてほしいとお願いできたはず。

「ごめん・・・っ。一番辛いのは唯織なのにっ。本当にごめん・・・っ!」

「大丈夫。皆が泣いてくれるから私は悲しまずにいられているんだよ、きっと」

たぶん、きっと嘘じゃない。周りの皆が私を大切に思って泣いてくれているから嬉しいんだと思う。
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