過ぎた時間は違っても
まだ眠っているのか?もう起きろよ。ご飯の時間だぞ?あぁ、昨日自転車で専用道路を走れなかった事で落ち込んでいるのか?だったら早く起きて一緒に行こう。今からでも遅くはないさ。
指先で握り返すだけで良いんだ。反応してくれよ。口を微かに動かすだけでも良いんだ。何でも良いんだよ。生きているんだって知らせてくれよ。心臓の音以外で、俺の言葉に返してくれよ。

「う・・・い・・・」

「・・・唯織・・・?」

空耳でも構わなかった。唯織の声が聞けた。それだけで心が踊るくらい嬉しかった。
大丈夫だからな、俺はここにいる。ずっとそばにいる。唯織が目を覚ますのをそばでずっと待ってるから。だから唯織、俺に教えてくれよ。まだ生きたいんだって言ってくれよ。
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