過ぎた時間は違っても
笑えない私への謝罪をしたいのか、悲しい表情をしてしまっている私をどうにかしたいのか。男の人は星のようなきらきらした粒を手の平から落とすと白い部屋を私の住んでいた自宅へと変えた。
居間にあるソファには何かを抱き締めながら疲れ果てたように泣いている母と母を抱き締める父がいた。いつも食事をするとなると使っていた食卓には祖母、慶太郎おじさん、羽季の父親、羽季の叔母がいた。皆、喪服を着ているという事は私が亡くなってから数日が経っているのかな。
両親の涙を見たのはいつぶりだろうなんて思いながら居間を見渡したけれど、羽季の姿はなかった。私の気持ちを察してくれたのか、男の人は白い部屋を私の部屋へと変えてくれた。羽季は運命を恨んでいるのか、見ていられなくなるほど自分で自分を痛め付けていた。

「何で・・・っ!何で唯織だったんだよ!!」
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