過ぎた時間は違っても
「私は大丈夫です。ただ、一つだけ良いですか?」
「分かった。お前の願いなら何でも叶えよう」
生き返る事を願いはしなかった。人間、生きていたら必ず死が訪れる。今、私が生き返った所で皆の悲しみが少し先に延びるだけ。一時的な癒しなら、私はまた亡くなった時に泣いてしまう。
私は男の人に私が存在しなかった世界にしてほしいと頼んだ。私のいなかった世界、生まれる事がなかった世界。私の存在を全人類の記憶から消してほしいと。男の人は一つ返事で私の頼みを聞いてくれた。
これで皆の悲しみは消える。皆幸せになってくれると思ったのに、私の思っていた世界とは異なっていた。羽季の母親は生きていて、羽季も生きていて。羽季よりも少し幼い子供が二人、私の両親の間にいた。まだ、ここまでは幸せなんだと思う。
「分かった。お前の願いなら何でも叶えよう」
生き返る事を願いはしなかった。人間、生きていたら必ず死が訪れる。今、私が生き返った所で皆の悲しみが少し先に延びるだけ。一時的な癒しなら、私はまた亡くなった時に泣いてしまう。
私は男の人に私が存在しなかった世界にしてほしいと頼んだ。私のいなかった世界、生まれる事がなかった世界。私の存在を全人類の記憶から消してほしいと。男の人は一つ返事で私の頼みを聞いてくれた。
これで皆の悲しみは消える。皆幸せになってくれると思ったのに、私の思っていた世界とは異なっていた。羽季の母親は生きていて、羽季も生きていて。羽季よりも少し幼い子供が二人、私の両親の間にいた。まだ、ここまでは幸せなんだと思う。