あなたに捧ぐ潮風のうた
序の巻 幼少
庭の草木一枚一枚の葉が紅に照り映えている。
肌を刺すような冷たい風が吹き抜けるたびに、赤く色付いた葉が空を彩り、やがて力を失ってひらひらと落下した。
今から三年前──治承元(1176)年。
小宰相が孝子と呼ばれていた、まだ十三歳であった頃の、ある日の暮れのことである。
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