あなたに捧ぐ潮風のうた
二日後、それは勃発した。
清涼殿で重大な発表があると突然伝達され、大勢の者たちが朝から「何事か」と言った様子で人だかりが出来ていく。
そこには関白基房や平家も面々の姿も見えた。
物々しい雰囲気に包まれたその場に、「お静かに」という政務官の声が響くと、水を打ったように一瞬で静まり返った。
政務官の言葉を通じて高倉天皇が何を言うのか、張り詰められた緊張の糸に、誰かが喉を鳴らす。
「藤原基房は関白を外官、太宰権帥に任じる。また以下を流罪に処す」
その言葉に、誰もが耳を疑った。
たとえ主上の言葉とはいえ信じられないものだった。
清涼殿は水を打ったように静まり返った。
「────ば、馬鹿な────!私がっ、関白の私が、太宰権帥だと!!」
その沈黙を破ったのは藤原基房であった。
顔を赤くし、唾を飛ばしながら政務官に噛み付いた。